ガソリンエンジンの研究の第一人者が、排出ガスがきれいな「クリーンディーゼル」の開発を命じられたのは1997年。当時ホンダは自前のディーゼルエンジンを持たず、技術的な蓄積はゼロに等しい状態だった。研究者は、エンジンを鉄より軽いアルミニウムで作ろうと考えた。ガソリンエンジンでの技術が生かせるうえに、軽くすれば車の燃費も良くなるからだ。内部が高圧になるディーゼルエンジンは、当時は強度がある鉄で作るのが常識だった。
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それでも会社は、開発にゴーサインを出した。研究室の壁は試作品の設計図で埋めつくされた。試行錯誤の末、温度を800度に下げて加工すると、鉄製並みに頑丈になることを突き止めた。排ガスを浄化する触媒も工夫した。完成したエンジンは、世界で最も厳しい米カリフォルニア州の次期排ガス規制を、ディーゼルエンジンでは初めてクリアした。