ウインカーを出し、一、二、三と数え……バックミラーとサイドミラーで後方の安全を確認してサッと車線変更したのに、他車と接触したというケースが意外に多いのです。クルマには死角があります。もしこの死角の中にクルマや、バイクが入り込んだときは、バックミラーにもサイドミラーにもうつりません。進路を変えるときはバックミラーだけでなく、目視で確認しなければならない理由もそこにあります。ところが、目視による後方確認をしない人が意外に多いのです。その理由の一つは、ホンの一瞬といえども前方から目を離すほうが危険という点。いま一つは、たしかに、バックミラーとフェンダーミラーだけでは死角は生じるが、常に一定の速度で走っているわけではない、かりに死角に入ったクルマでも次の瞬間には死角から出ており、バックミラーにうつる、つまり、うしろのクルマが死角に入ったまま走りつづけるのはめったにない―というものです。まず、前方から目を離すのは危険という点ですが、後方確認に必要な時間はせいぜい四分の一秒でしょう。時速五〇?/hのスピードで走っているときであれば、四〜五メートルは先に進むことになります。この間、もし前のクルマとの車間距離が一〇メートルしかなく、急ブレーキをかけたとしたら、たしかに理屈のうえでは追突します。そう考えると、たしかに後方確認のために前方から目を離すのは危険であるかもしれません。しかし、こうした不安は、死角がどこにあるか知らないために生じたものです。バックミラーやフェンダーミラーにうつらない場所(死角)はじつは、ぐるりと振り返る必要はないのです。ちょっと横を向けばいいのです。だいたい人間の視野は一四〇度から一六〇度までありますから、横を向いても、前方が視野からすっぽりと消えることはないのです。次に、うしろのクルマが死角に入ったままで走りつづけることはめったにないのではないかという疑問ですが、これはたいへんな誤解です。制限時速五〇?/hの道なら、大半のクルマが五〇〜六〇?/hで走っているのです。進路を変更するときに後方確認をしていない人がいたとしたら、いつ事故が起きても、ちっとも不思議でないほど危険な運転です。車線変更、右左折など進路をかえるときは必ず後方を直接目で確認するというクセをつけてください。慣れればそれが当り前となるはずです。ミラーの虚像で判断するより、自分の確かな目で実像を見てから判断、操作するほうが安全です。なお、上に書いたことなどは、自動車学校(自動車教習所)で初めに学習する項目なのです。
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