あるとき、アメリカの取引先が来日して、丸一日、会議を行った後、私はFO先輩に叱られました。「君は会議中に足を組んでいるが、やめなさい。会議机の下から見える。相手に失礼だから」と。確かにその会議中、ずっと私は足を組んでいました。取引先のアメリカ人は足を組んで、半分ふんぞり返っているし、アメリカではよく足を組んでいるから問題はないと思っていたのです。叱られたときはそれ以上の説明を受けませんでしたが、その後、FO先輩のお客様への対応を見て、自分なりに何となくわかってきました。FO先輩は、「会社を代表して、もっと言えば国を代表して交渉の席にいる。相手は日本のビジネスパーソンをたくさん見てきている。誰から見られても恥ずかしくない、日本人ビジネスパーソンとなれ」と言いたかったのでしょう。また、FO先輩は、日本のお客様を海外にお連れする対応もとてもすばらしいものでした。ある大手企業の幹部が海外出張されるときは、いつもFO先輩が指名されて同行していたくらいです。それは、FO先輩が異動して、すでに別の部署の責任者となっているのにも関わらず、ずっと続いていました。FO先輩は笑顔や言葉が上手なだけではありません。つねに細やかな心配りをされていました。たとえば、大勢で出張する際は、同行するお客様の荷物の数を把握して、同じ形・色のタグを持って、空港の待ち合わせ場所に現れます。しかも、そのタグの周りには蛍光塗料付きのテープが貼られています。ですので、荷物受け取り場所(baggageclaim)が多少暗くても、すぐに見つけることができるという気配りです。FO先輩が中東のある事務所に責任者として転勤するときなど、近所の豆腐屋から豆腐をつくる機械一式を買って持っていったという有名な話もあります。もちろん、日本から来られるお客様への心遣いです。当時、その国では豆腐は売っていなかったようなので。