日本の働く女性がこぞって注目したのも、日常的に豪快に使える「バーキン」だ。当時のファッション誌編集者は「バーキンはまさに、成功した女のアカシ。ケタ外れの値段と希少価値が、キャリアOLの自尊心をくすぐるんですよ」と述べている(「週刊文春」1999年4月15日号)。この当時「5年待ち」であったが、2003年現在ではあまりの人気にオーダーをストップしているほどだ。商品のネーミングの重要性については、先にみた「ケリー」人気でも充分に証明されている。40代の専業主婦の方がケリーについて「みんな、どこかでお姫様になりたいと思っているのよねえ……」と、しみじみ語るのを聞いたことがあるが、彼女たちの「お姫様願望」や「セレブ願望」に対処できる商品は、他にはなかなか見あたらない。お姫様願望の女性には「ケリー」、キヤリア志向の女性には「バーキン」。エルメスでは、時代の流れのなかで生じてくる様々な層に対して、鞄の基本形は変えぬままに、実用性とともにネーミングにもこだわった商品を用意しているのだ。こうした商品展開の厚みも、老舗プレミアム・ブランドの大きな強みとなっている。