(エメラルドの伝説)をテンプターズの最初の2枚と比較してみましょう。3曲とも短調なのだけれど「ソ」が違います。「ソラ」と長2度になるか、ソに#をつけて半音進行にするか。「忘れ得ぬ君」は♪「忘れ得ぬ君ゆーえ、遠い道をひとーり」、(神様お願い)は♪「かみさま」と「ソラ」の長2度になっているのですが、村井先生の♪「緑の水に口づける」は「#ソラ」のエンディングになっています。おまけに♪「君のひとみの、エメラールド」のところも半音進行(#ビこです。
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レにもソにも#がつくというのは、吉田正の都会調歌謡と同じですが、同時にザーピーナッツに代表される60年代和製ポップス(よく“一国籍ポップス”と言われた)の基本でもありました。(恋のバカンス、63)などです。それらの歌には、アラン・ドロンの地中海映画「太陽がいっぱい」(60)のテーマや、ザ・ピーナッツ自身が日本語で歌ってヒットした「ブーベの恋人」(63、クラウディア・カルディナーレ主演)のテーマの持つ、あの南欧風の洗練の味わいがありました。いや南欧とは限定できません。スウェーデンのエレキ・インストーバンド、ザ・スプートニクスの(霧のカレリア、65)も、(トロイカ)のテーマなどを入れて、“我愁の”と形容されるヨーロピアン・サウンドを流行らせていました。60年代中頃に最初に歌われた明治チョコレートのCMソング。あれの出だしの「チョッコレート、チョッコレート」というところが「#」このしらべです。最後の「チョコレートは、め・い・じ」のところが「#ソラ」です(いずみたく作詞・作曲)。この曲想が、女の子にはウケる、というのが業界の定説になっていたのでしょう。