上質の素材と魅力的な色のセーターやシャツ

2011.05.06

彼女は私に気づき、小さな声で「ボンジュール」と言ったきり、また作業にとりかかった。とりたてて接客をするわけでもない。何かひとつ買いたかった。しかし結局、何も買わずにミュリエルの店を後にした。彼女の服はあまりにもシンプルすぎた。それはもはや、服の助けを借りる必要のない人のための服だった。たとえ裸でいたとしても、揺るぎない自分自身のイメージを生まれながらに確立している。そう、ミュリエルその人のような。何の飾りもない、上質の素材と魅力的な色のセーターやシャツは、ほんの少しだけ彼女を引き立ててやればいいという、そのための服だった。素敵だけれど、優しくはない。彼女の服を前にした時、私は自分のスタイルの未完成さを目の前につきつけられたような気がした。私には着こなせない。