いま書籍印刷に実用化されているのは、やはりコピー機やプリンタから進化してきた系列のものだ。印刷機の会社が従来のオフセット印刷術の革新というレベルにこだわっているあいだに、コピー機の会社がどんどんオンデマンド印刷機を作り出している。いままでコピーと印刷は、品質から言っても用途から言っても、まったく違うものだとされていたが、少なくとも文字品質を見るかぎりでは、遜色ないレベルにまで近づいている。こうしたコピー機に用いられているのが、レーザー・ゼログラフィという機構だ。これはトナーという墨の粉を紙の上に吹きつけて定着させる技法で、レーザープリンタやコピーとも基本的には同じ原理である。だから最近のコピー機は、コピー、プリンタ、FAXの複合機になってきている。機構が同じだから、ひとつの機械の上に載せても難なく成立してしまうのだ。このレーザー・ゼログラフィを非常に速くすれば印刷機になる、というのは昔から言われていたことだったが、技術的に難しかった。ところが一九九三年、ゼロックスが〈ドキュテック〉という機械を発表する。一時間に八千枚の速度で刷るというコピー機だ。一時間八千枚ということは、一分間で百数十枚、つまり一秒で二枚半くらい刷れることになる。速い。しかも両面印字が可能だった。姿は「ものすごく大きなコピー機」としか言いようのない代物だ。
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