名門の六年一貫校の生徒や東大受験に対象を特化した、六年一貫の塾の存在である。私の灘高時代には、そんなものは存在しなかったのだが、同期の開成や筑波大駒場の出身者の多くは、そのような英語や数学の単科塾に通っていたことを知り、驚いたことがある。しかし、せっかく灘中に合格しながら、中だるみ現象といって、六年一貫であるがゆえに、中学三年(この時期に公立の生徒はいちばん勉強をするはずだ)や高校一年生くらいのときにだれてしまって勉強をサボり、そのままずるずる成績が落ちてしまう例を私自身目の当たりにしてきた。だから、私は中だるみを起こさせないような、英語と数学の両方の面倒をみる中高一貫校向けの塾を作れば、かなりの東大合格者数を出せるだろうというビジネスモデルを考えて、塾を始めた。結果的に私はその塾から追い出されてしまうのだが、そのビジネスモデルは成功し、毎年二〇〇人以上の東大合格者を出すそうだ。そして、ほかにもそのような塾がいくつかあり(私も改めてそのビジネスモデルに参入したが)、少なくとも東京では、六年一貫校の生徒が中学時代から塾に通うのが当たり前になっているようだ。小学校の初めから塾に通い、名門の中高一貫校に合格しながらさらに塾にも通う、最後の受験対策には予備校も利用する。そうした子どもたちが、東大合格者数のトップランクを占める名門校からの合格者の実態とすれば、受験競争の緩和の中、東大(おそらくは京大や医学部なども)受験は逆に熾烈化しているといえるかもしれない。