連邦の給付奨学金とローンだけでも多種にわたりたいへん複雑なシステムになっている。この他にも税制上の優遇措置として、生涯学習税クレジットやホープ奨学金、教育貯蓄プラン、教育減税などがある。連邦政府以外に地方政府や民間の奨学金も量質とも充実しており、以上の概略からもアメリカの奨学金が最も発達しているということの意味は十分に伝えられたかと思う。奨学金やローンの受給状況を日本と比較するには、フルタイムーフル学期学生をみる必要がある。ただし、彼らは全学生の約四割を占めているに過ぎないことは十分注意する必要がある。二〇〇四年の「全米奨学金調査」からの推計ではフルタイム学生の奨学金やローンの受給者は七六%で、平均受給額は10六万円、給付奨学金受給者は六二%で平均六〇万円、ローン借り入れは、約半数で約六六万円、キャンパス・ワーク・スタディは約一一%で約二一万円となっている。伝統的には、給付奨学金の割合が高かったけれども、近年ローンが増大して、今やローンの方が多くなっている。ただし奨学金に限らないアメリ力の特徴であるけれども、ばらつきが大きく、公立二年制、公立四年制、私立四年制の順で、受給率は高くなっている。さらに、別の調査では私立では九割以上の学生がなんらかの奨学金を受けているという。アメリカの授業料と奨学金政策はきわめて多様性に富むとともに、不断に改正されている。一九八〇年代以降多くの私立大学、さらに公立大学で高授業料/高奨学金政策が採用されている。これも多様な学生を獲得しようとするアメリカの大学の理念による。一九九〇年代には連邦政府の直接ローンと、教育減税制度が新しいシステムとして創設されたり、近年では連邦政府のメリットベース奨学金も創設されるなど、改革も常に進行している。これはアメリカ高等教育のダイナミズムと呼ばれる例のひとつである。
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